ふくらんだ白い太陽の 薄皮が破れ 春の子らが うじゃうじゃと湧き出る |
鋭く 割れたガラスの 角口に射し込む 朝の斜光 *角口は私的語 |
なぎ倒された影が 青く濡れた路面を這い 光差す土塀を屈折して 朝の空を啜る |
閉じられた店先で 木箱にこごまるしおれた野菜 所在なく 春の日陰にまどろむ |
ウー ウー ちいさな いしの ウー くねらちた ゆびの ゆびさす ポチポチ さきっぽに ちいさな いきものがいる ペッチンむし めをしろくろ オー オー ちいさな おどろきの オー めだま こぼれる プルプル ひとみの ちゅうしんに あたらしい はっけんがある ぼたんや しみや ちょうつがい ワイワイ アー アー ちいさな よろこびの アー まりまる ほっぺた きるり ちゅうがえる くちびる いっせいに なみうつ うぶげに おもいだしたよ てのひらを はぜかえる かんじょうがある おひさま ぽっちゃり ニッコリコ そんなふうに せかいを トーチタ テチタ そんなふうに ぼくらも テーシケ テシケ いくども まゆを くもらせ テテシケタ くもらせ くもらせ トテチテタ
ぼくの腕の中に 赤ちゃん! 白い綿帽子からほかほか湯気をたてた生命 お前さん! むかごをくっつけたマシュマロ足と 帆立貝のようなでんでんこぶしで どんなユーモアといとおしさを突き出しているの? この世界に初めて見るぼくを驚いているの? まん丸な目をじっと見開いてぼくを吸い取ろうとして こんにちわ! 遠い海のような青い白目の中になんて黒い瞳 ひっくり返したら宇宙へ穴ぼこが開いているんじゃないかい君は 背中に何をくっつけているの? 切れたてのへその緒が消えてゆくよ ほら 不思議な闇でぼくを脅かさないで アハッ 短い舌のあくびで顔をくしゃくしゃにしてくれて ありがとう ほっとしてお休みを言えるよ おやすみ!
鳥たちと僕との関係は おんどりにしてみれば、羽シの 厳粛な美声を出し抜きたまさか勝手な奇声を発して 恥ずかしい毛のない手羽根をばたつかせて 朝を明けさせたつもりでいい気になってる 下手糞脳天気声帯鶏真似野郎だし めんどりにしてみれば、羽(わ)チキンの ふくよかな胸肉と羽(わ)が子を ヨダレ垂ら垂ら虎視耽々鼻孔ヒクヒク狙う うっとり助平イタチ蛇道ケツネ爺でありんし カラスにしてみれば、 気持ち良う朝のマックバーガーモーニングしとんのに 何や知らん、トロイ猫みたいにケツ出し匍匐して来て 当たりもせえへん石を投げよる ヘタッピ大ボケごろつきスカ野郎やんかやし オウムにしてみれば、 ぶっ毀れたレコードよろしく よう飽きもせんとオハヨウ、コンチハ でか図体頭ふりふり繰り返しとる 大バカうざった粘ち粘ち野郎やし 鳥たちと僕との関係は スズメやヒバリ、ブンチョウやシジュウカラやルリカケス モズやメジロやウグイスや ヨシキリやツバメやハクセキレイや や、や、や、の小鳥達にしてみれば ぼくは決してお腹(なか)満プクット穀物ではなく あのおいしいおいしい青虫やバッタや跳び虫 ましてや喉仏ふるうる震える熟した果物でもない 事程左様に鳥たちと僕との関係は・・・・