メイド日記


「聞いてくださいよ」

「はあ」

「僕、風邪ひいてるんですよ」

「その話、オチは存在するアルか?」

「ああ、病んでいる時にさえ、この仕打ち。つらいなあ」

「ところで関係ないんだけどさあ、シュワルツェネッガーのことシュワちゃんって略すの、もうやめない?」

「あ、それ思ったことあるー」

「就職活動のことを就活って略される方も気になりますよね」

「それはお前、単に就職活動しているやつらが嫌いなだけ違うか」

「あとさー、田中康夫のことヤッシーって呼ぶのもさあ」

「あの、聞いてくださいよ」

「はあ」

「僕、風邪引いてるんですよ」

「……はあ」


「ヲベロン、出てきなさいよーッ!」

「どうしたでありますかめろん閣下、いきなり。そんな興奮して」

「またyu2あたりに妙なこと吹き込まれたに違いないアル」

「ヲベローンッ!出てこーい!今すぐころす、ぜったいころすーっ」

「ううん、なんかねえ、ヲベロンが、みの面接見て、笑い転げてたのが気に食わないらしいよ」

「今日のみの面接は、割合面白い方だったと、ワタクシなんかは思うんでございますがね」

「いや、テロップで笑わされてたのが、本域で癪らしいよ」

「…世の中、もっと勉強しなくてはならないことが沢山でございますやね」


「ス、スゴイ!オレサマ、ウッカリ カンドウ シタ!」

「えっ、どうしたんですか」

「うむ、めろん閣下がなんとも絶品な物真似を開発したのだ」

「最近、物真似ネタでお茶を濁しすぎの気がするアル」

「いやいや、今度のはすごいんだって。一回聞いてごらんって」

「…リポート見るならよんじゅうにちゃーん」

「ああ、音を伝えられないメディアなのがもどかしい!マジ激似!」

「……」

「どうしたんですヲベロンさん、浮かない顔して」

「いや、いつまでメイドサイト続くのかなって、考えたら、ちょっと」

「ぷりん、でーす」

「あの、それ、版権とかって、平気なんでしょうね」

「しらねーっ、すーっ」


「今日はヲベロンさんが病気でお休みだそうなので、ボクたちだけで運営でーす」

「ヲベロン、どんな病気アルか?」

「アクセスアップ病だな」

「といいますと」

「一定周期ごとに、矢鱈と克己心が強くなってアクセスアップを図りだす心の病だ」

「ありがちー」

「今回もアクセスアップのために何かしよう、なんて気軽に考えてこういうものを見て、血を吐いたのだ」

「アクセスランキング50コ!ケンサクエンジン300コ!」

「これ…平均値なのかなあ。ていうか存在数をそこまで知らないよぅ」

「…でも、登録してHIT数が伸びるんなら、やるだけやったらよろしんじゃござんせんか?」

「ばかもん、できるかそんなこと、めんどくさい」

「あの」

「と、ヲベロンは言っておった」

「……さよでございますか」

「向上心、足りねーっ!」


「今日は、渡る世間は鬼ばかりごっこ、を、しましょう」

「赤木春江、とっぴー」

「絶対渡さないアル!」

「私だって、赤木春江、やりたくないわけじゃないんですよ」

「だまれだまれーっ、メイドサイトなんだから赤木春江の役はあたしに決まってんでしょーッ」

「じゃあとりあえず、えなりくん役の、こげぱんさんに決めていただきましょう」

「ウルサイヨ!ダマレヨ!ババア!」

「か、かずき、お義母さんに何てこというの!」

「あら、先生、ピン子の役でござんすか。さすが、お目がお高くていらっしゃる」

「…こげぱんっ、あたしに向かってババア呼ばわりとは、いい度胸してるわねーっ!」

「ゴシュジン!オコル チガウ!オレサマ ワルクナイ!」

「だまれーっ、このーっ!待てーッ!」

「……」

「行って…しまったわね」

「最終回アルな」

「…え?」


「今晩は。4月13日土曜日のメイド日記、とんでもないニュースから始まります」

>就活やっている場合じゃねぇのではないかと大脱線しそうなくらい
就活やっている場合じゃねぇのではないかと
就活やっている場合じゃ
>就活やっ

「ア、ア、アトーッ!!」

「アトさん、厳重注意です。ただいまこの区域には省略語警報が発令されております」

「ただちに武装解除して降伏しない場合は、射殺もやむを得なあーいッ!」

「まあ、うっかり使ってしまったに違いないアル。罪を憎んで人を憎まず、アルよ」

「というか、普通一発変換されるものなのか。その、なんだ。「しゅうかつ」で」

「されませんわね」

「つうことはあれか、まさかアト、貴様、「しゅうかつ」で辞書登録を?」

「確信犯?」

「し、死刑だ、死刑にしろーっ」


「時にメイド、趣味は何かね?」

「…どうしたんです、藪から棒じゃござんせんか?」

「いや、ちょっと善からぬ噂を聞いたものでね。…ともかく、趣味は?」

「……インターネット?」

「ほう」

「なんだか、今日はやけに静かでございますやね」

「まあ、今日はわしら二人きりであるからな」

「さよでございますか」

「で。インターネットで何をしているのかね。そこが聞きたいのだ」

「…ワタクシのつまらない話より、先生の御趣味のお話のほうが、読者様はお喜びになるんじゃないかと」

「やはり隠すのか!」

「いえ、隠しているわけじゃあござんせんが」

「ならば遠慮せずに言うがよい、メイドの趣味を。さあ」

「いえいえ、先生からお先にどうぞ」

「…どうでもいいが、なんかわしら、お見合いしてるみたいだな」

「………」


「ヲベロンの独り言、また聞いたアル聞いたアルー」

「で、今度はなんですか」

「どぐみずかずお、ないでないで、ざっさど、じね」

「喉が痛くて、はっきり喋れないみたいだねー」

「……あえて解読したくない感じだわ」


「なあ、ダメだ、メイドのやつ、趣味のこと全然喋らないぞ」

「先生、聞き方が悪いんじゃない?」

「大体、誰だ、メイドがヴァーチャルネットアイドル(女子高生十六歳)やってるなんて言ったやつは」

「信頼できる筋からの情報アル」

「和泉宗家ママがセッチーって呼ばれるようになる、って予言したひとだよねー」

「お魚天国の大ヒットも予想していたアル」

「はぐれ刑事純情派でケインが殉職するのも当ててたよー」

「…それは、信用おけるという部類に入るのか」

「さかなさかなさかなー♪」

「さかなーをーたべーるとー♪」

「そこで歌って誤魔化すのか」


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