日曜日はダメよ  流x花




       「あ〜〜暑ッち〜ッッ! ったく、今日も一日、腹が立つほど良い天気だったゼ・・・」
       今日一日の練習を終え、汗で濡れたタオルを面倒臭げにロッカーに放り込みながら、
       恨めしそうに宮城リョータが呟く。
       「やっぱ、ナンだよな。こ〜ゆ〜日はバスケは置いておいて、海とかいきたくなるよな・・・」
       宮城がボヤきたくなるのも当然で、湘北バスケ部は夏休みに入ってから毎日、
       それこそ休みなしで、一日中練習をしている。
       言い換えれば・・・・・夏休みに入ってからの湘北バスケ部のお休みは、
       唯一、日曜日の午後だけなのだ。
       つまり、日曜日だけは、練習が午前だけで終る・・・と云うこと。
       それでも今日の宮城のボヤキが、何だかいつもより上機嫌だったりするのは、
       一重に、明日の日曜日の午前練習が、安西先生とキャプテンの用事で中止になった為だろう。
       つまり明日は・・・・彼らにとって久々に、オフと呼べる一日になった・・・って事なのだ。

       「明日は久々に自由の身って訳だし・・・折角の夏休み、アヤちゃん誘って、海に行きてぇよな・・・
        な、花道? お前だってそう思うだろ?」
       「ヌ・・・? 俺は別にアヤコさんと特別海に行きたいとは・・・・アヤコさんとは、毎日部活で
        顔合わせてるし・・・・・」
       「バ──カ、違ゲーよ、花道。そーゆー意味じゃなくて、オメーだって春子ちゃんと一緒に
        デートしたい・・って思うだろ?」
       「は・・・・晴子さんとデートッ・・・?!」
       「そーだそ、花道。 したらやっぱ、夏だし、海だろ、海ッッ!! 水着姿の晴子ちゃんが
        見れるんだぞ、花道ッ!!」
       「み・・・水着姿の晴子さん・・・・ッ!」
       「そうそう。水着姿のアヤちゃんを・・・・・」
       そのキラキラと眩しいだろう姿を想像して────花道は瞬間、パッッと赤くなると、
       「イカン、イカンッッ! リョーチン、駄目だゾッ!!  晴子さんの水着姿を想像することは、
        この俺が許さーーーんッッ!!」
       「ンだよ、花道。何ムキになってンだよ。 オメーこそ、顔が赤いじゃねーか、あぁ?」
       「お・・・・オレは、想像する前にビジョンが消えたから、いーンだッッ!!」
       うっすらと頬を赤くして憮然と言い放つ花道に、リョータはプッッと吹き出した。
       花道は派手な見かけとは裏腹に、本当は好きな子との登下校が夢の、純情少年なのだ。
       肩を揺すって笑うリョータに、花道は赤い顔のままムッッとした様に、
       「ンだよ、リョーチン。何、笑ってンだよ・・・ッ!」
       「クックックッ・・・・・いや、とにかく・・・だ、花道!!」
       「お・・・おうっっ!」
       「つまり明日が、俺達マジメなバスケットマンに与えられた、夏休み最後のチャンスかも
        しれねーって事だよ。 だからお前もそのチャンスを逃さねーよう、晴子ちゃん誘ってみろ!
        もちろん俺も、アヤちゃんをデートに誘う!!」
       「おおっっ、リョーチン! 何か、スゲェぞっっ!!」
       「あぁ・・・・貴重な夏休み。俺はやるぜっっ!! アヤちゃんをデートに誘う! 
        ───と云う訳で、お前も頑張れ、なっ、花道っ!」
       「うあ゛?!」
       「お前も頑張って、晴子ちゃんデートに誘ってみろ! 貴重な青春の夏休みを、無駄にしない
        ためにも───だっ! んじゃー花道。 俺は先に帰るぜ。 明日の準備もあるからな。」
       「お・・おうっっ!」
       「俺の検討を祈っててくれ。お前の検討も祈ってるぞ。 んじゃーな、花道。 お疲れさん」
       何やら、気合を入れて帰っていく宮城の迫力に、花道は呆然と見送る。
       確かに・・・・確かに、宮城の話は魅力的だった。
       春子さんと一緒の夏の海・・・・キラキラと楽しげに笑う、可愛い晴子さんの姿が、
       目に浮かぶようだ。
       晴子さんと二人でそんな風に過ごせたら、本当に夢のように素晴らしい一日になるだろう。
       「・・・・・・デェト、かぁぁぁ・・・・」
       思わずその様を想像して、ホンワ〜〜〜と花道がトリップした、まさにその時だった。
       
       「───でぇと・・・してぇのか?」

       「はう゛っっ?!」
       ボーッとしていた花道の背中に、ふいに掛かる低い声。
       ビクンッッと背中を跳ねらして振り返った花道は、そこに居た声の主を確認すると、
       とたんに眉根を寄せた。
       どうやら花道が、晴子さんとのデート・・・と云う甘い夢を見ていた間に、他のメンバーは
       サッサと片付けて帰ってしまったらしい。
       気がつけば部室には、花道と流川しか残っていない事実に、花道は少しばかり慌てた。
       どうも、コイツとは相性が悪い。
       そもそも・・・・・初めての出会いからいきなり告られる、と云う非常識ぶりを発揮した流川は、
       その後も何かと花道に絡んできては「スキダ」と臆面もなくいいまくると云う信じられない
       男なのだ。
       そして、一番最悪なのは。
       このキツネヤローには、人語が───特に花道の言う言葉が正しく伝わった試しがない、と
       云うことだ。
       ならば拳で言うことをきかせたらぁぁぁ! そう思うのだが、悔しいことにこのルカワ。
       拳勝負も花道と互角なので、むしろ、ゴリラのような湘北のキャプテンに叱られるだけの
       拳の話し合いは、損するだけだと云う事を花道は身をもって知っている。
       まさに花道にとって流川という男は、歩く厄災───天敵なのだ。
       しかも、花道の気持ちはともかく────他チームメイトからは「仲良しコンビ」として
       認知されていたりする事実があったりする。
       もちろん花道は、そんなの一度たりとも認めちゃーいないが。
       だから今も、流川から、話し掛けて来るなんて、ロクなもんじゃない・・・とばかり、
       思わず、警戒心も露わに、流川をギンッッと睨みつける花道なのだ。
       なのに対する流川は花道の様子など気にした風もなく平然と、
       

       「────したいンだろ? デェト」
       どうやら宮城と花道の会話を、失礼にもこの男は聞いていたようだ。
       まぁ、あれだけ大きな声で話していたら、部室中に聞こえていたかもしれないが、
       それでも、リョータとの会話を、こんなキツネヤローに突っ込まれたくはナイ。
       「あ・・・・・う・・・・ま、まぁ・・・・つか、テメーには関係ねェだろ、ルカワッ!!」
       「関係なくねー」
       「あぁ?!」
       「お前がしたいっつーなら、してもいー」
       「ンだと、ゴラァァァ、てめー、俺と晴子さんの仲を邪魔する気かぁぁっっ?」
       「ハルコ? あんな女、関係ねー。 お前がデェトしたいのかって聞いてる」
       「そ、そりゃ、デートはしてみてぇに決まってンだろーが。 ま、まだ一度も二人で出かけるっつーの、
        した事ねぇし・・・・」
       「───ワカッタ」
       「そーか、そーか。お前もやっと、俺とハルコさんの仲は引き裂けないと気がついたか・・・・!」
       花道が、思わず踏ん反り返ってハッハッハッ・・・・と笑ったその時。 続いた流川の言葉に、
       花道の笑いが止まった。
       「じゃあ、明日、デェトする」
       「ハッハッ・・・・・・・・ハ?」
       「明日、朝10時に迎えに行く」
       「オ、オイッ・・・??」
       「楽しみに、待ってろ」
       「ちょ、待ッ・・・・・!?!」
       「そーいや初めてかもしンネー。二人きりで出かけるっつーの。けっこーいいカモ」
       そう言うだけ言うと流川は、花道の返事も聞かずにサッサッとドラムバックを抱えて部室を出て行く。
       「っ───?! ちょ、ちょっと、待てェ、ゴラァァ、ルカワァァァッッ!」
       一人残された花道は、 今の話って、相手は俺か?! オレなのか?! 等々、
       パニックでグルグルになった頭で、突っ込みたい事がやっと言葉になった時には
       もう流川の影はそこになかったのだった───・・・。



       「─────本当に来やがった・・・・」
       10時を少し回った時、玄関のベルがなった。
       まさか───・・・と半信半疑でドアを開け、そこにぼ〜と寝とぼけたような、無表情なキツネ顔を見た時、
       何だか花道は朝っぱらから急に力が抜けた。
       そもそも、なんで、貴重な休日の朝っぱらから、コイツの顔なぞ見ねばならんのだ?!
       というか────流川が自分を「迎えに来た理由」を、ハッキリ言って知りたくナイ。

       「────押し売りお断り。」

       シュタッと手を挙げて、思わずドアを閉めようとした花道に、ガキッッとルカワの手がドアを押さえる。
       ついでに片足もドアの間に挟んでいて、もうドアは閉められない状態だ。
       恐るべし、キツネの早業!!
       「テメー、迎えに来てやったのに、何だ、ソレ」
       「ダッ、ダッ、誰が迎えに来いって言ったぁぁ?! つーか、休日までテメーのキツネ顔なんか
        見たくねェんだ、とっとと帰りやがれッッ!!」
       「・・・・デートだから。 とりあいず、迎えに来てみた」
       「ダァァァッッ!! だからッッ、 とりあえず、って何だぁぁ!! つーか、デェト?!」
       「デェトだろ?」
       「なっっ・・・!!」
       決まってンだろ、ばかりに流川に即答され、思わず言葉を失くす花道。
       そんな花道に追い討ちをかけるように、流川は花道の腕をむんずと掴むと、
       「───行くぞ、どあほう」
       「なっ・・・・だ、誰が行くかぁぁっッッ!!」
       「テメーが行きたいっつーたンじゃねーか」
       「おっ、俺はッッ、オメーと行きてぇなんて一言も言ってねェェッ!! つーか、そもそも、
        何で俺サマがっっ、お前なんかと、デートしなきゃなんねーンだっ?!」
       「付き合ってたら、すんじゃねーの?」
       「ダカラァァァッッ、そりゃ、誰とダレの話だッッッ!!」
       「オレとオマエ」
       再び即答の流川だ。 なんの躊躇いもないのが、花道にはむしろ恐ろしい。
       「ふっ・・・ふっ・・・ふざけんなっっ〜〜〜〜ッッ! だっ、誰がオマエとデェートするってンだッッ、
        とっとと帰ぇーれっっ! シッシッ」
       「・・・・・・・素直じゃねー」
       花道の激昂などまるで気にも留めず、流川はフゥー、ヤレヤレと溜息をつく。
       その様が、また花道の勘に触って、花道はムキになって怒鳴った。
       「す、素直じゃねーって、なンだっっ?! 俺は、心底そう思って・・・・って、
        お前、何故、靴を脱ぐーっっ!?!」
       「仕方ねー」
       「し・・・仕方ねぇ?!」
       「出かけねーなら、家に上がるしかねー」
       「なっ・・・・・?!」
       何でそうなる?!?
       恐るべしキツネの思考回路。 まっとうな人間である自分にはサッパリ読めない。
       それに家に上がるなどと、何てずーずーしい事を言いだすのだ、このキツネは。
       普通こんな場合は帰るって言わないか? つーか、帰ってくれ。
       そもそも自分と付き合っているなどと、勝手なことをほざいている流川と二人きりで家の中にいるなんて、
       そんな恐ろしい事態は考えたくもナイ。
       「まっ・・・・待て、待て、待てェェッッツ!!」
       花道は靴を脱ぎかけた流川を、必死になってドアの外へ押し出した。
       「・・・・・じゃー出かけンのか?」
       「うっ・・・・・あ・・ぅ・・・・・?」
       「出かけるンだな?」   
       花道、人生最大のピンチッ!!
       家の中で流川と二人きりになるか、はたまた、ルカワとデートをするか?!
       まさに究極の選択だ。
       そして花道の返事は───・・・言わずもがな、だった・・・・。



       「────で。何処に行くンだよ?」
       「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
       ぶすくれた顔のまま、そう問いかけた花道に、流川は考えるように足を止めた。
       「〜〜〜〜考えてねェのかよっ?! このバカキツネッッ!! 大体、テメェーから誘っといて、
        行く場所も決めてねぇっつーのは何なんだ?!」
       「────寝れるトコ・・・」
       「テメーん家へ帰れッッ!!」
       花道の即答に、流川はまた考えたような顔をすると、
       「・・・・・・・オメーは?」
       「ンあ?」
       「オメーは、何処行きたい?」
       「お、オレッ?!」
       まさか、ルカワがそんな質問をしてくるとは思わなかった。
       急に話を振られた花道は、慌てて頭を巡らすと、ふいに昨日リョータとの会話を思い出した。
       「・・・・・う、海、とか・・・・?」
       「じゃー、そこに行く」
       「えっ・・?」
       「オメーの行きたいトコに行く」
       「う・・・あ・・・・ぅ・・・」
       真っ直ぐに流川にそう言われ、花道は何だか返す言葉がない。
       ついでに、何だか顔まで赤くなった。 
       そんな花道を見て、流川はポソリと呟いた。
       「・・・・・・・・やっぱイイカモ。」
       「あ?」
       「デェト。」
       「!!!  だぁぁぁかぁぁぁらぁぁぁッッッ! これはデートじゃねぇぇって言ってンだろーがっっ!!」
       「ウルセー。早く、後ろに乗れ、どあほう」
       「ウガーッッ!! テメェこそ、たまには人の言う事、聞きやがれっ、このキツネッッ!!」
       流川の自転車を挟んで、しばし揉めた花道と流川は、それでもどうにか海まで───
       はたから見れば、二人仲良さそうに───出かけたのだった。
       
       
       
       二つの影が長く延びている・・・・・もう、すっかり夕方だ。
       花道の家の前まで「送る」と、馬鹿なことを抜かして花道に殴られた流川は、
       それでもチャリの後ろで暴れながら乗っている花道を乗せたまま、帰路についた。
       そういえば今朝出かける時も、後ろに乗る、乗らないで、大モメに揉めたのだが、
       デェトと云うからには、「チャリの二人乗り」は、流川の中で譲れないポイントだ。
       本当は、自分の腰に花道が手を回してくれるのを期待していたのだが、残念ながら
       それは叶えられなかった。
       と云うか、そう口にしたら、何故か花道は怒って暴れ出してしまったのだ。
       まぁ、照れている花道は、それはそれで可愛いとか思っている流川だ。
       そう考えれば・・・・・今日のデェトとやらは、とても満足のいくものだった。
       勿論、流川の中では────なのだが。
       だから、花道の家が近づいてきて、花道が自分の自転車の後ろから降りたとき、
       急に温もりがなくなって、流川は少し物足りない気持ちになった。
       しかも、花道の態度が余りにあっさりしていたので、余計にそう感じたのかもしれない。
       だから流川は、サッサと家の中に入ろうとする花道を思わず呼び止めた。
       「─────オイッ」
       「あぁ?」
       「・・・・楽しかったか?」
       「はぁァァ? ンだよ?」
       「今日は楽しかったかって聞いてンだ、どあほう」
       「なっ・・・何言ってんだ、いきなり?!」
       暗に、今日の感想───流川の云うところのデェトの──を聞かれたのだと云う事に
       気がついて、花道は瞬間真っ赤になる。
       「なっ、何だってンだ、いきなりッッ?! テッ、テメェと一緒で楽しい訳ねーだろーがっっ! 
        大体テメーは海についたとたん、ソッコー寝やがりやがって!!」
       ほとんど条件反射のようにルカワに向かって怒鳴りつける花道だ。
       だが、流川はそんな花道を気にも止めずに、花道を真っ直ぐみつめると云った。
       「・・・・オレは楽しかった。スゴク」
       「う゛っ・・・ッッ」
       随分、真摯な目をして流川がそんな事を言うので・・・・花道は一瞬、言葉に詰まった。

       本当は・・・・楽しくなかったと云うのは嘘だ。

       想像していたよりずっと、流川と過ごした休日は楽しかったのだ。
       寝こけている流川の上にキツネ型に砂を盛ったのも、ケケケッッと笑ってしまうほど楽しかったし、
       それに気付いた流川が怒って追いかけてきたのも、海に逃げた花道を追いかけたまま、
       沖まで競争するように泳いだのも楽しかった。
       ついでに、流川のオゴリで食べたラーメンもカレーも、カキ氷も、焼きイカも、焼きもろこしも
       みんな美味しかったし・・・・楽しかったのだ。
       「〜〜〜〜〜〜ま、まぁ、な、なんだ。 スゲーつまんねかったとか云う訳じゃねーケドな・・・」
       「・・・なら、いー」
       そう言って少しだけ・・・流川が嬉しそうに笑った。
       思わず、その顔に不覚にもドキリとした花道は、何故か急に熱くなる頬に慌ててそっぽを向くと、
       「じゃっ・・・・ンじゃーな、ルカワ。」
       そそくさと家に入ろうとして・・・その腕を掴まれた。
       「 ────?! ンダァ?」
       まだ何かあるのか・・・? 花道がそう思って流川を振り返ると。
       「・・・・・・・・けか?」
       「あぁ?」
       「──そんだけか?」
       「何がだよ?」
       「テメー、わざわざ送ってやったオレに云う言葉はねーのか?」
       「なっ・・・お前にお礼でも云えってのか?! 誰がキツネに頭なんか下げるかってンだ!
        そもそも俺は、ンな事頼んじゃねーッ!!」
       「・・・・・可愛くねーぞ。フツー、こんな時は、家に上がってお茶でも・・・とか
        云うモンじゃねーのか?」
       「だ、誰が言うかっっ〜〜〜〜ッッ!!」
       「・・・・チッ。仕方ねー」
       「・・・・チッ? テメェ、今、舌打ちしやがったな?! つーか、何が仕方ねぇっつー・・・・
       !?!
       ふいに花道の怒鳴り声が途絶えた。

       「とりあいず、今日はコレだけ」

       チュッと音をたててすぐに離れた流川の唇が、間近でそんな事を言う。
       しばらくして、やっと現状を理解した花道は、その瞬間、ユデダコのように真っ赤になった。
       わなわなと震える唇は、何か云おうとしているのだが、それは声になっていないようだ。
       大体、とりあえず、って何だ?!
       今日  コレだけって、どういう事だ?!
       まさかと思うが、この次があるとでもいうのか・・・?!?
       グルグルになった頭で、花道がなんとか冷静に考えようとしたその時。
       再び花道の頭を真っ白にする、ルカワの駄目押しが炸裂した。
      
       「次は、もっと先をねらうカラ」
       「ふぬっ・・?!」
       「次のデェト、楽しみだな」
       
       流川はそう云いたいことだけ云うと、硬直した花道はそのままにチャリを漕ぎ出していく。
       もちろん別れ際に、
       「じゃーな、どあほう」
       そう云いながら、またもや、チュッ・・・と無防備な花道の唇を奪うのを忘れずに。

       そして流川の影が見えなくなる頃、やっと正気を取り戻した花道の、
       「次なンてあるかバカルカワーッッ!! もう二度とねーっっ!!! 
        つーか、もう来んじゃねーっっ!!」
       という雄叫びだけが、響いたのだった・・・・。


                                                  ちゃか・ちゃん(汗




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