レビュー。

IR研究所刊行物


PROTOCOL〜実験計画書〜
NO.5

(2000/8/13)(文章/まんが)

割と僕は生きものの仕組みとかそれ系の話が好き、というか興味があるので割と面白かったです。豆知識満載。
とはいえ、後半部のまんが「ラットの解剖」は、割とおそろしい内容だと思いました。
助手のお姉さんが、最初のページでは本気で気乗りしなそうな顔をしているのに、終盤には割と慣れた顔になっているのが面白いです。
何度見ても最初の、本気でうへえ、という表情がたまりません。


鎮花(はなしずめ)

(2000/8/13)(まんが)

巫女まんがですね。これは何かの二次創作なのでしょうか。
何度か読み返してみたのですが、裏の設定がたくさんあるように思ったので。
僕は、意外と自分が知らない作品の二次創作を読むのが嫌いではなくて、それは「世界から切り取った感じ」が割と好きだからなのかもしれません。
無論、一次創作でそういう姿を持っているものも好きです。背後にある世界を想像するのが好きなのですね。

これはそういう、どこかの世界から切り取られた感じのお話でした。
ただ、少し描かれている世界が今僕らがいる世界と異質、というか、どこまでが一般でどこまでが特殊なのかが、わかりにくい気がしました。
例えば「魔法使い」というのは僕らの世界での「電器屋さん」とかと同じような一般的な存在なのだろうか、とか、そのあたり。
そのあたりには少し説明が欲しかった気がします。


けもの文庫

(2000/12/30)(まんが)

これ、面白かったです。
その、登場人物が割と好き勝手してる、というか脳のネジが明らかに違う方向を向いているのが特に。
5ページって短かったのですが、なのにメリハリがあるというか、アレだ。とても自然な雰囲気でした。

作中には怪異が描かれているのに、その世界は僕らがいるこの世界と地続きであることが実感できます。
その意味では「鎮花」の世界よりも、こっち寄りな感じ。
その自然な雰囲気のせいで、主人公が人体模型を見つけたときのリアクションとか、ネズミとの会話とか、明らかに「ボケ合い」で、つっこむべきところがたくさんあるのになんとなく、納得してしまう感じ。
真顔でボケきられた感じでした。しかも落ち着いた雰囲気の中で。
とりあえず、全ての登場人物が、全ての突っ込むべきところを、全て間違えているのが本当に面白いです。ええ。

こういうのがバランス感覚なんだろうなあ。


非在の境界

(2002/8/11)(まんが)

今年の新刊。
一読して思ったのは、情景描写というかその、背景。景色が作品のトーンにあたえる影響力についてでした。
すごく静かな雰囲気で、普段ありえないようなことも、日常の会話も、同じペースで淡々と流れてゆく感じ、というのはとても素敵です。

その、一番面白いと思ったのは、登場人物が割と「ありえない状況」をすとん、と素直に受け止めていることなのですね。
素直に、というのは少し違うかもしれなくて、驚いていないのです。
一歩間違えるとそれは「感情の起伏がない」ということになってしまいそうですが、決してそうはならずに。
すごく、自然な感じです。
怪異と同居して、なおかつそれが自然な世界。
まさに、その世界を切り取るという言葉のままだと思いました。とても魅力的。
すごく良かったように思います。

短い話が積み重なってゆくのを読むとき、小説で言う「行間」を感じるようで僕は好きです。
今後も期待しております。続きを読みたや。

ところで。
「鎮花」の「真浦さん」と「非在の境界」のお姉さんは同じ人のような気がするんですが。
「鎮花」にでてくる「いおん」(真浦さん妹)と、「けもの文庫」の主人公、「非在の境界」の主人公は、果たして同一人物なのでしょうか。
「けもの文庫」と「非在の境界」は連作に違いないと勝手に僕は確信しているのですが、「鎮花」とはどうなのでしょう。
気になるなあ。
同一人物だとすると、「鎮花」以降に彼女のパーソナリティを激変させる何かがあったのでしょうか。
うう、気、気になる。


踏切
(2003/8/17)(まんが)

「背景」について、会場でもお話をさせていただいたんですがやっぱりそうなのです。
あきうせいさんの漫画を貫く感じとして、背景の美しさというのが重要な要素としてあると思うのであります。
何といいますか、難しいのですが、どの絵も同じ世界のことなんだなあと思わせる感じというか。
主人公たちの線と背景の線が、親しいのですね。
うん、今のは我ながら割としっくりくる表現だった。そう。まさにそういう感じ。
話の内容は、良い意味でいつもの感じです。
日常なのに怪異が身近に感じられるという、文章化しにくい独特の空気の世界での物語。
主人公として、今までの刊行物で見知った子が出てきても、知らない子が出てきても、ああこれはあの世界の話なんだと納得できるあたり、心地よい漫画でした。
こりゃコミケにて、一冊立ち読みして既刊全部くださいって買ってく人が多かったのも納得ってものです。

ちなみに、表題作の「踏切」はオサッシシマス第二号に載った漫画なんですが、最後の一ページだけ差し替えてあります。
僕はこっちの方が好きだったり。
もう一作は前作である「非在の境界」の赤球の続き。
赤球って、創作妖怪かなあ。前に聞いたかもしれないけれど、忘れちまいました。
でも、創作妖怪なら良く出来てるし、既存の妖怪だったとしてもいいすくい方だと思うのでどちらにせよリスペクトです。


ちょこっとサモンさん
(2003/8/17)(まんが)

4コマ漫画が三本。
二次創作の原典を知らぬゆえ詳しいことは申せませぬが、マネマネ師匠の小意地悪い表情萌えー。


ヲベロン拝