あとがきというものについて。
常々思うのは、あとがきというものはある一部の読者にとっては蛇足でしかないのではないか、ということであります。
確かに「求められていないのに書くあとがき」というものは、確かに作者の自己満足の部分が多く現れているかもしれません。
実際、小説を書いているのですから、あとに書くことは小説のさなかに書いてしまえばよいのであります。
その意味で言えば、あとがきというものは基本的に不要であるのかもしれません。
ですが、オンラインの小説についてはすこし見方を変えるべきではないか、と思います。
例えば個人が運営しているニュースサイトの大半についても、そのソースを見て紹介者が何を感じたか、という部分に読者の興味は寄せられるようだ、という話があります。
オンラインで小説を発表するというのは、本にして書店に並べるのと比べて、少々特殊だと思います。
それにはオンライン小説の多くが無料である、ということや、関連リンクの検索がしやすい、ということが一部にあります。
例えば文学者の研究では、どの小説がどんな時期に描かれて、その間作者はどのような生活をしていて年は幾つだったのか、などと調べるのは少々面倒です。
ですが、それを知ってから読むとまた違った味わいがあったり、嫌いだったのに好きになったり、好きだったのに嫌いになったり、ともかく、作者について知るということが、読書(web上でこの言葉を使うのが不適切ならば情報摂取)にまた違った楽しみを見出してくれるのだと僕は思います。
読者が作者に対して興味を持っているかどうかは別にして、ネットではそのような楽しみ方を誰でもが気軽に出来る、というのは大いなる利点であると思うのです。
だから、僕は小説を書く上で、伝えきれなかったことをあとがきにして書くのではなく、あとがきはあとがきとして楽しめるような、そのあとがきを読んだことによって小説を二度読みたくなるような、そのようなあとがきを書いてゆこうと思います。
いつだって意気込みだけは立派な僕です。