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short reviews/essay
「still life」。 ありのままの生活をあるがまま受け止めるだけなのに、どうしてこんなに途方に暮れるんだろう。油断ならないぞ、これは。生々しい瞬間を(一見そうは見えなくても)剥ぎ取り、言葉(しかも短歌)というスポットライトを当てとどめを刺す。残像という美しい痣。危険だぞ、これは。 生活のヒトコマ(楽しいとか嬉しいとか)ヒトコマ(諦念とか絶望とか)の光と影が鮮明に浮かび上がっている。きちんと存在させている。だから魅力的なんだ、本当は。 モノクロームのコーヒーカップの傍らに、 『友の死を伝えるポストカードには向日葵の群れ、羽ばたくような』 飲み残されたカップの底に、生活とは縁の切れない生と死、そして希望と自由の光までもが混在している。その広がりに、震えてみたり。 猫好きだから猫の在る作品はどうしたって見惚れちゃうし、障子ってこんなに面白いものだったっけ。アイロンをかける、とか、溶けかけのアイスクリームの、ぐちゃぐちゃでも綺麗なんていうアンバランスには惹かれちゃうし。空が在るところにはたくさん物語が詰め込まれているんだね。(うん、そうかもしれない。)疾走感のある作品や「永遠」という言葉に遠くて近いどこかへ連れて行かれそうになったり。
現実と同じように僕は「still life」の中で迷走している。
(ヲグチトーコ、グラフィックデザイナー) |
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