§2.個々の企業の状況
1.同一業種内の企業間格差
国の経済政策、とくに法人税、間接税(消費税他)などの租税政策により、企業間格差が顕著になった。
自動車業界、家電業界のように業界1位の企業が巨大化するようになったのは周知のとおりである。
逆に、業界2位以下の企業が弱小化しているとも言える。
(税制による企業間格差発生の事例)
昭和59年の法人税率と残余利益
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年間利益 |
法人税43.3% |
残余利益 |
3年間の合計⇒ |
法人税3年間 |
残余利益3年間 |
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大企業A |
10,000億円 |
4,330億円 |
5,670億円 |
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12,990億円 |
17,010億円 |
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中小企業B |
500万円 |
216.5万円 |
283.5万円 |
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649.5万円 |
850.5万円 |
法人税として徴収された4,330億216.5万円(3年間で12,990億850.5万円)は低所得国民に再配分され消費(内需)に向かう。
残余利益5,670億283.5万円(3年間で17,010億850.5万円)は社内留保と株主配当と役員配当となる。
平成11年の法人税率と残余利益
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年間利益 |
法人税30% |
残余利益 |
3年間の合計⇒ |
法人税3年間 |
残余利益3年間 |
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大企業A |
10,000億円 |
3,000億円 |
7,000億円 |
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9,000億円 |
21,000億円 |
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中小企業B |
500万円 |
150万円 |
350万円 |
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450万円 |
1,050万円 |
法人税として徴収された43,000億150万円(3年間で9,000億450万円)は低所得国民に再配分され消費(内需)に向かう。
残余利益7,000億350万円(3年間で21,000億1,050万円)は社内留保と株主配当と役員配当となる。
昭和59年と平成11年の差額(法人税率が13.3%下がった結果)
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年間利益 |
法人税 |
残余利益 |
3年間の合計⇒ |
法人税3年間 |
残余利益3年間 |
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大企業A |
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△1,330億円減 |
1,330億円増 |
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△3,990億円減 |
3,990億円増 |
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中小企業B |
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△150万円減 |
66.5万円増 |
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△450万円減 |
1,050万円増 |
@
法人税として徴収された金額は1,330億150万円(3年間で3,990億450万円)減少し、低所得国民に再配分され消費(内需)に向かう
金額が減少した。それは企業の国内売り上げが同額減少したと考えてよい。
A
残余利益は大企業Aが1,330億円(3年間で3,990億円)増え、中小企業Bは66.5万円(3年間で1,050万円)増えた。
これは、法人税率が13.3%下がったことによる受益は高収益の大企業が圧倒的に多く、弱小の中小企業はほとんど受益していないことを意味している。しかも赤字企業は法人税率減少の受益はゼロである。
これが税制による企業間格差発生の原因である。
2.業種分析
(1)今後100年間成長が見込まれる業種
医療関係業界
引き続き最も儲かる職業=医者
金儲けのトップは医者
医療関係には巨額の国の健康保険財政が流れ込む。
181.4兆円
2008年の国の医療費支出は35兆円+患者負担は3割(15兆円)=50兆円
2015年予想 46兆円+患者負担は3割(19.7兆円)=65.7兆円
2025年予想 65兆円+患者負担は3割(20兆円)=93兆円
2050年予想 127兆円+患者負担は3割(54.4兆円)=181.4兆円
93兆円
(資料)日本総合研究所試算
65.7兆円 50兆円
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このようにとてつもない富が医者を頂点とする医療業界に流れ込む。
ただし、製薬業界は新薬の開発費負担が重く中小業者は厳しい経営を強いられている。
(新薬の開発期間が10年と超えるなど長期に及ぶのは厚生労働省の新薬の認可に時間がかかるからである。)
(2)今後も倒産リスクの少ない業種
食品関連
低額所得者層が増えているが毎日の食品は買わざるを得ないのでこんにちの格差社会においても不況に強い業種である。
収入が減ると
衣の出費を減らす 食は減らない 住の出費を減らす ・・・・・エンゲル係数が高くなる



繊維、衣料品業界は不況 食品業界は不況に強い 住宅建築、不動産分譲業は
(3)いつの時代でも国家が保護したがる業種
銀行、金融業は我が国のバブル経済がはじけて国が救ったように
いつでも国が手厚く保護する。
(4)省エネ環境関連
地球の温暖化、石油の枯渇、環境汚染などにより、省エネ環境関連産業は唯一の先の開けた夢のある業種である。
(5)老人関連
高齢化社会で老人は増える一方ではあるもののシルバーマネーはなかなか出てこない。
老人施設の運営も介護保険が絡んでおり、利幅のとりにくい業界である。しかし老人関係業界は今後ますますボリュームが大きくなる。
(6)I.T.関連
銀行は今やIT高度利用企業となった。IT技術の利用が銀行の営業戦略そのものとなっている。他の業界も今後ますますIT利用営業パターンが多くなる。インターネット利用ビジネスを中心としてIT技術提供企業はまだまだ成長が見込まれる。
3.企業の変化
(1)日本製品の優秀性が崩落
人件費削減→熟練社員の減少⇒未熟な労働者の増加→粗悪品、粗悪業務の発生・・・・・・
人件費の削減で利益を出してきた企業はそれと引き換えに発生してきている現象である。あらゆる産業界に発生している。
⇒日本製品の優秀性が徐々に崩落してゆくであろう。
(2)雇用形態の変化と会社への忠誠心、生産物
終身雇用の会社では熟練工が生まれる、会社に対する忠誠心がある、会社の危機を自分の危機としてとらえ会社を救ってくれる。
一方、短期雇用、低賃金での社員、派遣社員の大量雇用は、従業員に会社に対する忠誠心はない。知識ノーハウ経験が醸造されない。
不良品が生まれやすい。粗悪品ができる。
社員の心がすさむ。会社が社員を使い捨てにすれば、社員は会社を使い捨てにする。企業内の治安が乱れる。
(3)営業方法の変化
限りなく詐欺に近い商法の蔓延。
たとえば・・携帯電話業界・・・ひとつの業者が詐欺まがいの営業を始めると善良な業者もそれに追随せざるを得なくなる
・・・・「悪貨は良貨を駆逐する」のだ!
商品の偽装、商品表示の偽装。
善良な商売の方法が消滅の傾向⇒消費者を騙す商法の蔓延⇒互いに騙しあうビジネスの世界となる。
4.企業の対応指針
経済社会の構造変化を客観的に把握したうえで、個々の企業はどう対応していったらよいのか。
☆難しいかもしれないが、業界1位の企業と商売するよう心がけるとよい
取引上のリスクが減る。
あらゆる業界に企業格差が生まれてきているので、弱小企業との取引は以前に比べて足をすくわれる危険性が高くなっている。
☆最も儲かる業種にできるだけ歩み寄れ、不景気でも倒産しない業界と取引せよ
今の業種内でも社会構造の変化に対応して転換を図れ
たとえば、
不動産業なら高額取引である土地建物の売買、分譲事業はやめ、貧乏人相手の賃貸仲介業へまたは不動産企画業へ。
不動産の分譲なら医者(開業サポート)に特化した分譲など。
☆低価格商品を売れ
構造的に低所得者が増えているので高級品は売れない。政府の所得格差推進政策により、富裕層も増えているが市場としてのパイは小さい。
☆リスクの少ない業態へ構造転換を図れ
製造業から流通業へ
製造業は設備投資産業であり、リスク産業、流通業は設備投資が少なく、非リスク産業である。
製造業は多資金業、商業、サービス業は少資金業である。
☆無借金経営を目指せ
または銀行からの融資でなく社債や増資などで資金調達せよ。
銀行の変質に対する対応
現代の金融業・・・政府の方針により、金貸し専業から持ち株、株式投資、先物投資、ハイリスクハイリターンの商売ができる複合企業となった。
つまり欧米のハイリスク型金融業に日本の金融業もなった。
米国の金融機関がプライムローン(先物投資)で大損して資金難になったため、企業から融資資金を引き揚げた。
経済、産業の血流である資金の流れが一瞬止まってしまったため、産業界は金融危機に巻き込まれた。
銀行に足をすくわれないためには、無借金経営がベストの社会となった。
☆人件費を節約すると粗悪品が生まれる・・・粗悪品が生まれない工夫をせよ。熟練工である団塊の世代を有効利用せよ
安い人件費は粗悪品を生みやすい。
団塊の世代の大量退職=熟練工の退職・・・・→非正規社員の採用 =知識経験がない=未熟練社員⇒粗悪品
団塊の世代を有効利用せよ。
団塊の世代が受給している年金分だけ人件費が安い。
☆少子高齢化社会の老人需要ビジネスは難しい
年寄りのシルバーマネーは今日のように暗黒の経済社会になればなるほど放出されない。先月不安の世の中になると年寄りは財布のひもを締める。
高齢者の購買力が増加しない=企業の売上に結び付かない。内需は介護保険の支出総額レベル。
☆海外事業は国内の数倍のリスクありと心得よ
政府の経済政策の転換は当分見込めないので、内需は引き続き上向かない。生き残りを図るには海外売上を求めて企業をグローバル化せざるを得ない。しかし、国内と違い、海外ビジネスは一企業ではコントロールのできない様々なリスクが潜んでいる。世界はあした何が起こるか分からない。
(参考)
<米国をはじめとする欧米の経済の特徴>
生産物経済(実業経済)
資本主義経済が進展し、物を生産して売り利益を得る経済(実業経済)
から、物の裏付けなしに、金だけを動かして利益を得る経済あるいは
情報の操作で利益を得る経済(虚業経済)に変貌している。金融や
情報が生産物経済を凌駕するようにまで資本主義経済が変質したと
資本主義経済の変貌
いえる。
金融とは本来与信であり、紙幣は紙切れにすぎない。実態経済の物々
交換の手段が紙幣である。実態経済の裏付けのない金融だけが利益
金融投機経済(虚業経済)
を求めて独り歩きし、投機が過熱し、クラッシュしたのが今回の米国初
金融危機である。日本のバブル経済の崩壊と同じことが今後も国際レ
ベルで発生すると考えておいてよいと思われる。
虚業経済は生産物の裏付けがないため、瞬間的にあっという間に破たん
する性質を持っている。