§1.現代の経済社会の状況
・政府の公平主義の租税政策や労働環境の変化により、低所得階層が増加し、国民の購買力(内需)が失われている。
・法人税率の緩和によって企業間格差が生まれている。
・課税の公平政策が税収を減らし、国家財政のプライマリーバランスを悪化させている。
・バブル経済が発生する危険を絶えずはらむ時代となっている。
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1.政府の公平主義の租税政策
(1)所得の再配分税制から平等負担税制へ
昭和62年頃から我が国の政府の経済政策が転換され、税制によ
る国民経済の富の再配分が行われなくなった。
能力のある者は金が貯まる実力主義 国民公平課税政策へ 経済政策転換
「能力のある者がたくさん稼いだ金に多くの税金を課すのはフェアで
はない、能力のある者のやる気をなくし、国の経済が衰退する」、と
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の考え方が経済政策の基本となった。
金持ちに財産が残るシステムへ 税金は富裕者も貧者も同じに負担
アメリカ型のアメリカンドリームならぬジャパニーズドリーム実現の
社会をめざしたものと思われる。あるいは明治時代以来の政府の
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欧米信仰、欧米追従型政策が主流になったのかもしれない。
↓
余剰資産は購買力につながらず内需減退 税制による所得の再配分がなくなり内需が減退
(2)所得格差拡大と購買力、内需減退
その結果、国民の間に所得格差が拡大し、一部の勝ち組にどん
どん金がたまり、低所得者層が増加し、経済的に疲弊し、国民の
物を買う力つまり国民的購買力がなくなってしまった。
内需が弱く、企業は売り上げが伸びない国になってしまった。
所得税の累進課税の大幅緩和
(3)貧富の発生、低所得者の増大のもととなっている税制
政府の「儲ける力のある者が富を得る経済政策」つまり「経済格差
拡大政策」の柱は税制である。
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○(所得税)
生活保護家庭にも課税する消費税の導入
税制は「課税の公平」のもとに、所得税は高度成長期のような急
相続税率の大幅緩和、課税最低限緩和
勾配な超過累進課税が昭和62年に廃止された。(最高税率75%
から40%へ)
住民税の一律平等課税化
○(消費税)
金持ちに財産が残るシステムへ
生活保護者も大金持ちもまったく均一に課税する「消費税」が平成
1年に導入された。
所得格差の発生 低所得者層の増大
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資産格差の増大
○(相続税)
相続税の税率も昭和63年に75%から70%に、平成15年には50%
に下げられた。また課税最低限![]()
は2,000万円から5,000円に軽減
された。
消費需要の減退の恒常化 国民の購買力減退の恒常化
○(住民税)
住民税は平成19年に10%の完全均一課税となった。
<消費税の経済原則> 消費税率が5%増えれば、可処分所得が5%減り 内需が5%減少し、結果として企業売上が5%減る
○(課税の公平政策の推進)
「課税の公平」政策は現在も引き続き推進され、平成23年には消費
税率が上がる予定である。
バブル経済崩壊
2.労働環境の変化・・・民間企業行動と購買力
(1)低賃金化、非正規社員の雇用
平成3年以降のバブル経済崩壊後、一般企業は中高年の労働者を
大量解雇し、
労働組合の弱体化 中高年の大量解雇
極めて安い賃金の非正規雇用労働者を雇用するように
なった。
平成20年には我が国の労働人口5,000万人の1/3が非正規労働
低賃金非正規労働者 の雇用 派遣社員の発生
者(1,700万人)=低賃金
労働者になった。終身雇用制度が崩れ、
派遣社員、期間労働社員は大量に雇用されるようになった。
企業利益=売上―経費 (経費、人件費の削減で利益を出す)
(2)人件費の削減によって利益を出すようになった。
企業は人件費の削減によって利益を出すようになった。
企業業績の安全弁としての労働者を雇用し、解雇できるようになった。
企業は売上の増加でなく人件費の削減で利益を出すようになった。
出た利益は株主と役員などの企業の幹部で分配し、労働者への分配
<国民経済基本等式> 人件費=労働者の給料=国民の購買力=国民の消費支出能力=企業の製品を買う力=企業の売上
が行われなくなった。
国民経済にとって、労働者の給料はそのまま国の購買力であり、
労働者はそのまま物を買う消費者でもあるため、購買力の低下した
低収入の国民が増大し、国民購買力がなくなり、内需が減退した。
<経済のマイナス成長スパイラル> 人件費の削減=給料の減少⇒国民購買力の減少⇒ 企業の売上減少⇒人件費の削減=給料の減少・・・あとは繰り返し⇒経済のマイナス成長を繰り返す <人件費のブーメラン効果> 人件費の削減=給料の減少⇒国民購買力の減少⇒ 企業の売上減少
(3)海外進出
内需疲弊
国内は国民の大多数の労働者が低所得化し、購買力がなくなり、
内需がなくなったため、海外進出し、海外での売り上げによって、
会社を維持するようになった。その結果企業に空前の利益が出ても
現地生産で現地の雇用増大→現地の繁栄 海外売上に活路
国内労働者や日本国民はその利益を享受できないようになった。
企業の利益が国内の労働者に配分されないので企業の売上が内需
と結びつかない体質となった。


3.法人税率の緩和によって企業間格差が生まれた
一部の勝ち組企業に膨大な富の蓄積が行われた
法人税率43.3%から30%に緩和
利益の出ない企業や利益獲得能力の弱い中小企業は法人税率緩和の
恩恵は受けられず、利益のたくさん出る優良企業がもっとも税率低下の
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恩恵を受けることとなり、企業間の力の格差がいっそうできた。
赤字企業は税率緩和の恩恵はゼロ! 優良企業は税率軽減による多額の恩恵
赤字企業は法人税率緩和の恩恵はゼロである。
年間1兆円の利益の出る会社は法人税率が43.3%なら納税は4,330億
円だが、法人税率30%なら納税は3,000億円なので差額の1,330億円
の富が会社にもたらされ、それが株主と幹部社員に配分される。
企業内に働く従業員の給与格差 企業間格差の拡大 一部の企業の巨大化
これが法人に対する、政府の「公平課税主義」の実態である。
政府の「公平課税主義」は企業レベルでも貧富の格差を醸成させる
こととなった。
税率軽減による多額の恩恵
勝ち組企業の富の分配については、高度経済成長期には法人税とし
て国の財政に吸い上げられていた部分が、現在では株主への多額な
配当と企業の幹部社員への高額な役員
賞与に振り向けられている。
貧富の格差拡大
その結果個人レベルでの貧富の格差の拡大にも貢献することとなった。

企業間格差はそこで働く従業員の給料格差を生み、労働所得者の貧富
の格差を生むことにも貢献した。
ますます続く政府の経済格差拡大政策
4.低所得階層の増加=今後も続く国内経済の疲弊
(1)政府の所得格差政策の続行、推進
所得の再配分税制から平等負担税制への政府の経済政策の転換
は結果として所得格差拡大政策の推進役となり、低所得者層は増大
消費税率が5%増えれば、可処分所得が5%減り 内需が5%減少し、結果として企業売上が5%減る
し、今後ますます、国民の購買力がなくなり、内需がなくなり、企業
は売上が立たず、海外に向かい、日本国内は疲弊し、国力が弱まっ
てゆくものと思われる。
我が国の政府は低所得者層により多くの負担のかかる逆累進税制
企業売上が5%減れば人件費=給料が5%減る
である消費税の増税など、これからもますます平等負担税制=「所
得格差推進政策」を続けてゆくと思われる。
世代を超えた超長期にわたる国内経済不況体質の発生である。
ますます続く低所得者層の増加
これを経済の「欧米病」と言ってよいかもしれない。
不治の病である。

(2)資産格差社会から世襲制社会へ
所得格差の継続
また、所得格差政策の継続により、資産格差が生じ、世代間の資
産格差の継承が生じるようになった。
資産格差の発生
課税されなかった余剰所得がやがて資産、財産となって蓄積できる。
富裕層に対する相続税負担の軽減政策により、蓄積された財産は
子へ承継され、消費に向かわなくなった。
資産格差格差の世代承継
それは経済の疲弊、内需の減退が世代を超えて発生し続けること
を意味している。
貧富の世襲→世襲性社会の到来
資産格差の承継は職業の世襲制を生み始めている。
5.課税の公平政策が税収を減らし、国家財政のプライマリーバランスを悪化させた
昭和62年の国民平等課税主義への経済政策の転換、平成1年の
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消費税の導入の成果が平成4年頃から徐々に現れてきた。
つまり、平成4年頃から歳入が歳出を大幅に上回る傾向が顕著に
歳入
なった。
このプライマリーバランスの大幅な赤字は所得格差拡大政策
のつけである経済成長率の低下、経済の疲弊による税収の減少に
国民平等課税政策による財政赤字の恒常化
よるものあり、また、増大した高齢者を含む低所得者層救済のため
の社会保障費の増加によるものである。セーフティーネット支出の
増加は格差社会進展に伴って今後も増大する。
赤字国債の継続的発行、国債残高の膨張はいずれ我が国の財政を破綻
させる。
6.バブル経済の発生する危険を絶えずはらむ時代になった
政府の金融政策 消費支出されなかった高所得者の余裕資金
(1)高所得者の余裕資金が投機マネーに
欧米並み金融業の規制撤廃
課税されなかった高所得者の余裕資金によって投機経済が盛んと
なる。
高所得者の余裕資金は投機経済の資金供給源となる。
高所得者が蓄えた余裕資金は投機マネーとなってバブル経済を
銀行等金融業
もたらす。
投資ファンド全盛期となった。村上ファンドがもてはやされた。
(2)金融業規制の撤廃=銀行が投機ビジネス化
投資ファンド
欧米に追従し、平成14年に政府が金融業規制を撤廃したため、
銀行は貸金業のほかに何でもできるようになった。
預金者から預かった金で会社を買収できるようになった。
儲けられるのもなら何でも手を出すことが可能となった。
物を生産する会社自体を安く買って高く売り抜ける会社売買ビジ
ネスが盛んになった。
儲けのために金融業者はグローバル化し欧米にも投機マネーをつぎ
込むようになった。
(3)米国発、金融危機
本来、金融(お金)は生産物の物々交換の便宜手段であって物を交換
するときに使われた。従って、金本位制のように、物の裏付けがあっ
てはじめて金融は正常に機能する。
金だけが独り歩きするようになると経済はとんでもないことが
金融業者のマネーゲームの失敗
起こるようになる。
実を伴わない架空に近い金融商品が多数生み出され、貸付金債権
までが投機対象となって債権が水膨れし、ある日突然風船が割れ
るように破綻してしまう。経済の実態を伴わない金融だけのマネ
―ゲームの破綻、それが昨今の米国初金融危機である。
実体経済の血液である金融がストップ
我が国に昭和62年〜平成2年頃のバブル経済と原理は同じであ
る。
お金という紙っきれで経済が動いてしまうので、儲からないと
物作り企業生産ストップ
わかったら投機はあっという間に破たんしてしまう。
(4)今後の続く政府の金融業の規制緩和政策
平成13年までは我が国の銀行業法は貸金業以外の業務や融資先
の持ち株を原則禁止としていた。銀行による投機や貸金業以外の
ビジネスにより破綻から預金者を保護するためであった。
また、それは銀行から融資を受ける企業を、銀行の破綻から守る
ことにもつながっていた。
現在の国の金融政策は規制緩和を一層進めているので実体経済の足
をすくう金融危機は今後も引き続き発生する危険をはらんでいる。
つまり、経済はきわめて不安定な時代となった。